意外と知らない「つみたてNISA」の資産形成力!

投資

つみたてNISAは2018年から開始された「運用益が非課税」になる積立型資産運用制度です。

この「つみたてNISA」、特別な呼び方をしていますが、非課税であることを除けばただの投資信託です。 (一部ETFも選択可能)

しかし、シンプルながらよくできた制度で、運用方法や商品選択にあえて制限をかけることで、投資初心者でも地雷を踏まずに資産形成ができるよう工夫されています。

そして何より、非課税ということも含め、やり方次第では資産を爆発的に増やせる可能性を秘めた意外な制度と言えるでしょう。

私はこのつみたてNISAは老後資金の形成などを目的として、強くおすすめできる投資手段のひとつと考えています。

制度ができてから時間も経ち、老後資金2000万円問題で認知度は伸びていますが、私の周りでもまだまだ知らない方が多いので、おすすめの理由について、できるだけ簡単にお伝えします。

過去データを使った積立シミュレーションでイメージを掴む

百聞は一見にしかず。まずは単純に貯金した場合と、つみたてNISAで運用した場合の具体的な金額の差を、実際に存在する商品の過去データを使ったシミュレーションで見てみましょう。

【シミュレーション条件】

  • 積立額  33,333円/月×12カ月=約40万円/年
  • 指 標   S&P500米国株式
  • 条件1  利回り6%(過去20年間平均リターン)
  • 条件2  利回り9%(過去30年間平均リターン)
  • 期 間  20年間
  • 経費率  シミュレーションのため算定なし(実際は0.15~0.2%程度が多い)
  • 分配金  受け取りなし(再投資)

このように、利回りゼロで単純に貯金した場合は約800万円

つみたてNISAで20年間、利回り6%(比較条件1)で運用した場合については約1,540万円と、約700万円の運用益が得られたことになります。この利回り6%というのは、S&P500という米国の優良企業500社を詰め込んだ米国代表の指標の2019年から過去20年間のトータルリターン(平均値)であり、この間100年に1度の大暴落と言われるリーマンショックの影響を強く受けています。

例えば、より平均値に近い値として、過去30年間の平均利回りである9%(比較条件2)で運用した場合、約2,226万円となり、なんと約1,400万円もの運用益が得られたことになります。(あくまで過去データによるシミュレーションであり、将来の運用益を表すものではありません。)

余談ですが、つみたてNISAは非課税運用が終わる20年後、売却しなければ自動的に課税口座に移され、運用を続けることが可能です。(正確には、積立した年ごとに20年経過した際、そのときの時価で一旦自動売却され、課税口座であらためて新規取得した、というイメージになります。)

20年経過後は非課税運用ではなくなりますが、参考に運用期間を30年間に変更してシミュレーションすると次のような結果となります。利回り等の条件は先ほどと同じで、運用期間だけ変えたものです。

このように、成長が右肩上がりのS&P500のようなインデックスへの投資は、積立期間が長くなるほど「積立元本の増加」と「利回り」によって運用額は大きく成長します。そして、運用額が大きくなるほど『複利効果』も大きくなり、加速度的な資産成長が期待できます。

あくまで過去データによるシミュレーションですが、投資運用は正しく行えば貯金よりはるかに大きな利益をもたらしてくれる可能性があるということです。

※複利効果とは、運用で得た利益を含めて運用していくことで、利益が利益を生んで資産が増えていく効果のことです。

つみたてNISAを始めるのに向いている人

過去データを用いたシミュレーションでは非課税で大きな利益を得られたつみたてNISAですが、誰でも始めるべきかと言うと、一概にそうとも言えません。

冒頭で述べたとおり、つみたてNISAは非課税というメリットを除けば、あくまで単なる「投資信託」です。年齢や生活ステージなどによって、しないほうが良い場合や、投資商品の選び方に工夫が必要なケースもあります。

つみたてNISA云々ではなく、投資をするのに「向いている人」と「向いていない人」という考え方になりますが、簡単に分けると次のようになります。

向いている人

  • 年齢が若く長期運用できる
  • 毎月定額貯金を行っているなど生活資金以外の余力がある
  • 多少のリスクがあっても資産を増やしていきたい

向いていない人

  • 老後資金の取り崩しが近く長期運用できない
  • つみたてNISAの想定利回りより高い利率の借金がある
  • 生活資金以外の余力がない。または大きな支出を控えている(子どもの学費等 )
  • 絶対に損失を出したくない

補足として、上記の区分は歴史的にリターンが高い反面、下落幅も大きい「株式」での運用を前提としています。

株式運用する場合は定期的に訪れる暴落に備えて、取り崩しが必要となる年齢までにじゅうぶんな期間と資金(入金力)の確保が必要と言えます。

ただ、年齢が定年間近などの理由だけでしたら、株式ではなく値動きの少ない債券などを選択するという方法もあります。つみたてNISAでは債券や、バランスファンド(株式や債券を織り交ぜた商品)などの選択もできます。

また、堅実に貯金されている人は、近い将来に取り崩す予定がない額から運用に回すなどすれば資金的に困ることなく、始めやすいはずです。

一方、向いていない人に関してざっくりまとめると、「投資より優先して支出しなければならない予定のある方」です。

具体的には、投資利回りより大きい利率の借金があったり、生活資金が乏しく長期間の運用に回す投資資金が確保できない方、また、市場の相場変動が心理的に耐えられない方がその代表になります。

最後に、単純に日々の相場変動がストレスという方については、少額から始めて慣れていくのも一法です。

つみたてNISAの始め方

つみたてNISAを始めるには、口座開設等を含めて次の流れになります。

  1. 証券口座の開設
  2. つみたてNISA口座の開設
  3. 投資信託商品の選択

このように、ほとんどの場合はまず「証券口座(一般口座)」を開設し、さらにその中に「つみたてNISA口座」を開設することになります。

証券口座は楽天証券かSBI証券のどちらかにしておけば間違いはないでしょう。

楽天証券は楽天カードからの積立をすると積立額(月5万円分まで)の1%がポイントバックされるのでおすすめです。

そして、つみたてNISA口座はあくまでただの「入れ物」なので、その中にこれから育てていく「投資商品」を入れてやらなければなりません。一番重要なのはこの部分です。

商品を選択し、毎月いくら積み立てるのか、分配金は再投資にするのか受け取るのかなどを設定する形になりますということです。(分配金は再投資がおすすめです。)

ここまでの手続きをすれば、あとは引き落とし口座に積立用の資金を入れておく以外、基本的には何もする必要はありません。

なお、繰り返しになりますが、つみたてNISAで選べる商品の多くは、積立投資のスタイルを活かした長期運用を前提としているものが多くなっています。

そういった商品は、日々の値動きを気にする必要は原則としてありません。どうしても気になってしまうという方は、自分の性格に合っていない投資をしてしまっていると考えられるので、債券など相場変動の低い商品に変更したり、積立金額を少なくするなどの工夫が必要でしょう。

つみたてNISAの注意点

第一に、「元本保証はない」という点です。

先述したように、つみたてNISAはあくまで投資信託であるため、当然ながら元本保証はなく、投資の大原則として損失が発生する可能性があります。

上記シミュレーションで示したような米国の優良インデックス商品(S&P500連動型商品)においても、将来の動向は誰にもわからない上、資金を取り崩す必要が生じたタイミングで運悪く暴落してしまっていた場合などは元本割れする可能性も考慮する必要があります。

これに関連して、つみたてNISAは選べる商品が制限されています。

それは投資初心者でも変な商品をつかまされないよう、一定の基準を設けて資金形成にふさわしくないものを排除してくれているからです。

それでも、注意すべき点はいくつかあります。商品選びの際はとても大まかにですが、次の点に注意するとよいでしょう。

  1. 長期実績で右肩上がりのものを選ぶ
  2. 短期実績の高さだけで判断しない
  3. 経費率のできるだけ低いものを選ぶ
  4. 純資産額のある程度大きいものを選ぶ

つみたてNISAは20年という運用期間が用意されているように、基本的には長期運用で利益を出すことを想定すべきです。そのため、最近の運用成績より長期実績を見て、じゅうぶんに成長が見込めそうなものを選ぶべきです。

また、純資産額の大きいものを選ぶことで、極端な価格変動を抑えて安定的な運用を図ることが期待できます。

もちろん、一概に言えることではないですが、これらを考慮するだけでもリスクは大幅に減らせると思います。

商品は自分で内容を確認して選ぶべきですが、投資が初めてという方への取っ掛かりのために、おすすめできる代表的商品を一部だけ記載しておきます。年齢が若く、投資期間を長く取れる方はこの中から選んでおけば間違いはないでしょう。

米国株式

  • eMAXISSlim米国株式(S&P500)
  • 楽天・全米株式インデックス・ファンド

世界株式

  • eMAXISSlim全世界株式
  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド

上記は、米国株式と世界株式を2つずつ記載しています。過去データでの運用成績はグループごとにほとんど同じですが、これまで成績が良かったのは米国株式のほうです。「eMAXISSlim米国株式(S&P500)」は米国優良企業500社への分散投資、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は米国企業のほぼ全体の約4000社とより幅広く分散されています。

これまでの実績としては、世界株式より米国株式のほうが平均利回りが高い状態です。しかし、今後の展開は誰にもわからず、長期運用を行う上で世界経済すべてに投資しておくという目的で全世界株式を採用されている方も多くおられます。

商品選びはつみたてNISAをするうえで最も重要な部分となります。経費率なども運用成績などをよく確認のうえ、自己責任でしっかりと商品を選ぶようにしてください。

まとめ

つみたてNISAについて、まとめると次のような特徴となります。

  • 毎年40万円まで20年間積立できる
  • 運用中に発生した利益が非課税になる
  • 元本保証はない(あくまで投資信託)
  • 悪い商品のほとんどは排除されている
  • 最初に1度だけ積立設定すればあとは基本的に放置でOK
  • 20年後は引き出さなければ自動的に課税口座に移される
  • iDeCoと違い取り崩しが可能(そのときの時価で利益確定する必要がある)

今回、投資商品選びに関しては代表的なものを数個紹介した程度で詳しくは触れてきませんでしたが、30代までの方はやはり米国株式か世界株式のインデックス商品の2択になるのではないかと思います。

つみたてNISAは投資初心者でも始めやすいよう制度設計されています。また、投資経験の長い方は必ずと言っていいほど利用している制度かと思います。資産形成において非課税の恩恵はそのくらい重要でありがたい要素なのです。

投資経験のない方もこの機会にぜひつみたてNISAで資産運用を始め、老後資金問題を考えてみてはいかがでしょう。

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